JMCゲームレビュー

JEMCゲームレビュー

重曹エビマヨコーン(JEMC):レビュー記事250本以上

「真・三國無双 オリジンズ」レビュー

マンネリから脱却して新生した三國無双

252本目のゲームレビューです。

評価

87点

〇かなりの良ゲー

敵将相手に弾きや発勁など気持ちいいアクションを盛り込みまくって、とにかく楽しくなりました。

無双シリーズの大量の敵を薙ぎ払う豪快アクションもさらにパワーアップしています。

『真・三國無双 ORIGINS(オリジンズ)』とは

発売日・対応機種

発売日 対応機種
2025年1月17日 PlayStation5/Xbox Series/PC

どんなゲーム?

コーエーテクモゲームスが開発・販売するタクティカルアクションゲーム『真・三國無双シリーズ』の最新作

記憶を失ったオリジナルキャラクターを主人公に据え、三国志の世界を新たな視点で描く

感想など

新生「真・三國無双」

『真・三國無双 ORIGINS』(以下「無双ORIGINS」)は、「猛将伝」「Empires」などの拡張版を除けば2018年2月に発売された『真・三國無双8』以来、第9作目となる真・三國無双シリーズのタイトルです。

真・三國無双シリーズというとPS2の『真・三國無双2』から人気が爆発し、コーエーテクモの看板シリーズとして続いているものの毎回漸進的な変化で「マンネリ化」が指摘され、オープンワールド化した8も評判はいまいちという窮地に立たされているシリーズです。

このようなシリーズの斜陽から再び人気を盛り返すため、コーエーテクモは、無双ブランドの回復に注力し、シリーズ新作タイトルからナンバリングを外して再発進させる策に打って出ました。

「9」ではなくORIGINS

真・三國無双シリーズは、これまで作を重ねるたびにプレイアブルキャラたる武将が増えてきましたが、今回は、それを一旦白紙に戻しました。

無双ORIGINSでは、基本的にプレイアブルキャラクターがオリジナルキャラクターの主人公「紫鸞(しらん)」のみとなっています。

オリジナル主人公「紫鸞」

ストーリーについては、のいずれかの勢力について三国志の世界を体験するという部分については、いつもと変わりありません。ただし、今回は三国志中盤の山場ともいえる「赤壁の戦い」までとなっています。

赤壁の戦いまでとなると短そうに思えるかもしれませんが、そこに至るまでの争いや事件などの過程を細かく描いているのでボリュームは十分です。

そして、期間が限定的な分、話の密度は濃くなり、いつも序盤で退場してしまう、張角董卓陳宮といった人物に十分なスポットが当たって、彼らの物語がより掘り下げられるようになりました。

今まで序盤退場キャラの出番が多くなった

このように無双ORIGINSは、マンネリ化したいつもの真・三國無双とは一味違ったゲームとなり、新生をはたしています。

戦場を駆け回るアクション

無双ORIGINSのアクションは、マップを駆け回りながら大量の雑兵をバッサバッサと斬り倒すというお馴染みの無双アクションである点は根本的に変わりません。しかし、今回はスケールが凄まじくパワーアップしています。

描写される敵の量が圧倒的に多くなりました。無双ORIGINSでは、かなり遠くからも兵が視認でき、倒れた敵まで描写されるようになっています。この圧倒的な量の兵士のワラワラ感で戦場の臨場感と迫力が大きく増しています。

ものすごい敵の量

無双シリーズは、この大量の敵の群集をズバンズバンと斬り込んでいって兵士達を吹き飛ばしていくのが非常に爽快で高揚感のあるゲームで、吹き飛ばせる敵の数が多ければ多いほど楽しいです。そういう意味では、無双ORIGINSはシリーズの中でも最高の「気持ちいい」が実現されています。

大量の敵を吹き飛ばすのがとにかく気持ちいい

敵将との戦いにおいては、パリィアクションの「弾き」と敵の武芸(光る攻撃)を事前に潰す「発勁」を中心にした戦闘となっています。

パリィなど待ちが基本のカウンタースタイルの戦闘は、常に攻め続けたい無双ゲームとは相性が悪そうですが、無双ORIGINSの「弾き」と「発勁」は相手が攻撃してくるのを待つ必要はありません。

コンボ中でもキャンセルして出せるので、コンボで殴りつつも割り込まれそうになったらキャンセル発勁でカウンター、さらに攻め続けていくことが可能です。これがとても良い!これまでは敵が怯まないスーパーアーマー付で攻撃を押し付けてくる時は、攻めを中断して距離を離し一旦仕切り直しでつまらないという感じでしたが、今回は敵の攻撃を逆手にとって対応できるのでテンポを崩しません。

発勁や弾きで常に優位に戦える

弾きも発勁もタイミングはかなり緩く簡単に決められ、その割に、リターンが大きいのもポイントです。

両方とも決めると敵将は跪いてスーパーアーマー状態が解除されます(覚醒状態は除く)。

呂布だろうが関羽だろうが浮かせ技でしっかり浮くようになるので、練習してたコンボをきっちり1セット入れられます。1セット入れたら敵将がまたアーマー付きで攻撃を押し付けてくるので、またそれを弾いて跪かせて浮かせて1セット…といった感じで続けて完封するのがとんでもなく気持ち良く、ドーパミンがドバーっと出る瞬間です。

有名武将でも一方的に攻めれる

本作のアクションは、これまでの無双シリーズのアクションの問題点を解消し、芝刈りするだけの単調さを除きながらも爽快感をさらに向上させた1つの完成形といえるでしょう。

オリジナル主人公について

無双ORIGINSでは、今までのように劉備関羽といった三国志の武将が主人公ではなく、オリジナルのキャラクターが主人公を務めます。

これについて「プレイアブルキャラクターが一気に減って寂しい!いろんな三国志武将使いたかったな!」という意見は「真・三國無双7とか8とかやっとればいいんじゃ!」の一言でほぼ片付きます。

しかし、ほかによく見る意見で「主人公が喋らない!」「外見変更(キャラクリ)できない!」という点については、私もある程度思うところがあるので言わせてもらいます。

まず、「主人公が喋らない」について、です。

ドラクエに代表される「喋らない主人公」は、「主人公=プレイヤー」として、感情移入とロールプレイゲームの没入感を上げるためのもので、個人的にはケースバイケースで有りかなと思っています。特に昔のゲームは今ほど表現力が出せず想像で補完する部分が多かったので昔のゲームほど有りという感じです。

ただ、近頃のゲームだと登場キャラクターも等身大で周りのキャラクター達もフルボイスでベラベラ喋ったりするので、そんな中で主人公だけ喋らないと、「ただ無口で陰険なキャラクター」に見えてしまい「喋った方がいい」という感じがすることも多いです。

結論は、無双ORIGINSの主人公「紫鸞」は、どちらかというと喋った方がいいと私は思います。

何故か説明するのに他のゲームの喋る主人公喋らない主人公で比較します。

参考例として使いやすいのは、FE風花雪月ベレトFE無双風花雪月シェズです。同じ風花雪月でありながら、前者は喋らない主人公、後者は喋る主人公です。

FE風花雪月のベレトとシェズ

ベレトは喋らない分「主人公=プレイヤー」として感情移入はしやすいのですが、無口で表情も乏しいので「暗い」「何考えてるかわからない」といった印象が強いです。一方、喋るようになったシェズは「主人公=プレイヤー」として感情移入はしにくくなりましたが、ポジティブな性格でコミュニケーション力が高く、主人公らしく周りを引っ張っていく魅力があることに説得力があります。

本作では、主人公が各国の武将からやたら人望を得ますが「強いとはいえこの無口君の何がいいの?」といった違和感を感じてしまうので、もっといっぱい喋らせて武将とコミュニケーションを積ませることにより、そのモテモテの理由に納得できるキャラクターにして欲しかったと思います。

無口なイケメン紫鸞君

次に外見変更(キャラクリ)できないことについてです。

同じ開発スタジオ(ωForce)の『WILD HEARTS』や開発は異る(Team NINJA)が近い存在の『Wo Long』などは、キャラクターをエディットすることができました。

『WILD HEARTS』と『Wo Long』のキャラクリ

これらのキャラクリエイトはクオリティが高く評判も良かったので、本作も同じ様にできるようにすればいいじゃん!と思うのですが、何故かキャラクリ等の外見変更機能はありません。

キャラクリがあったほうがいいか、なくてもいいかは、そのゲーム次第ですが、本作の場合は、あったほうがいいと私は思いました。

理由は、今の紫鸞の外見に感情移入ができないので、それなら自分で作らして欲しいということからです。

紫鸞は美形でかっこいいのですが、一騎当千の武芸者という設定なら夏侯惇くらいの体格と漢らしさが欲しかったと個人的には思います。せめて、「無精髭」とか「ムキムキマッチョ」とか外見を数パターンから選べるようにしてほしかったですね。

コエテクの美形キャラは嫌いじゃないけど、正直、もうお腹いっぱいなんですよねー(^_^;)周瑜とか趙雲よりも韓当みたいな個性的なキャラが欲しいです。(でも、ドラクエヒーローズ2の男主人公(※)みたいにクセの強すぎるのは勘弁)

結局のところ、主人公のキャラクターの完成度が高ければ、キャラクリ主人公は不要ということです。MGSにおけるスネークのように完成されたキャラクターが主人公なら文句は言いません。

※ドラクエヒーローズ2の男主人公(ラゼル)

ドラクエヒーローズ2はωフォース開発のドラクエスピンオフ作品で、ドラクエ無双ともいえるアクションゲーム

主人公の1人であるラゼルは、ドラクエにしては珍しくセリフがあってボイス付きで喋るのだが、ことあるごとに発する口グセ「たぎってきたぜー!」が痛々しすぎて、筆者に「ドラクエの主人公は喋るべきではない」という認識を植え付けた個人的ゲーム史上最悪の主人公となっている

気になった点

無双ORIGINSの気になった点です。

①ダジャレ町人がウザい

側を通り過ぎる度に同じダジャレを何回も聞かされます。しかも、後半になるにつれダジャレが多くなってきます。しつこい、多すぎ、ハラスメントです。

しつこいダジャレハラスメント

何のためにこれ採用したの?(^_^;)

せめて設定で「町人ボイス OFF」機能が欲しかったです(真剣に探した)※

※アップデートにより「噂話の再生頻度調整機能」が追加されました。

②苦手な武器も使う必要がある

境地のレベルをあげるために、全ての武器種を使う必要があり、好きな武器だけ使うというわけにはいきません。特定の武器種で何人倒すとか修練もあります。

9種類も武器種があれば、気に入る武器種もありますが、苦手な武器種も当然出てきます。苦手なのに無理して使うのは、まぁストレスなわけで…。

ちなみに自分が好きなのは空中コンボにつなげやすい剣と棍、苦手なのは手甲と飛圏です。

③自軍大将敗走による敗北の理不尽さ

弱いくせに突っ込むのは勘弁して欲しいです。

④元化の存在

中性的な見た目の美人の男の子という狙いすぎたキャラでなんだかなぁと思いました。ただの医者をこんなキャラにする必要性がわからない。普通の弱そうなおっさんで良かったのに…。

「女が喜ぶ男の子」というより、「男が悦ぶ男の子」をマッチングさせましたという感じで自室の居心地が悪かったです。気に入らないキャラに付きまとわれるってのはこれもまたストレスなんですよ…。

勝手な同居人の元化

元化こそキャラクリできれば良かった…かな?

まとめ

無双ORIGINSは、マンネリから脱却するため、タイトルからナンバリングを取り、新しい「真・三國無双」として再出発を試みた挑戦的なタイトルですが、その挑戦は見事に成功したといえる完成度の高いゲームとなっています。

シリーズ最高にド派手で爽快なアクションに加え、三国志の黄巾から赤壁までという中国史でも最高級に面白い部分を細かく丁寧に描いた物語も素晴らしいです。

三国志・無双シリーズのファンはもちろん、三国志の物語を良く知らない人にもオススメできるゲームです。

なお、クリア後は呂布を連れていけます。

以上

『真・三國無双 ORIGINS』のレビューでした。

 

↓ブログランキングに参加しました!

バナーをクリックするとこのブログにポイントが入ります!(1日1回)


ゲームレビューランキング
にほんブログ村 ゲームブログ ゲーム評論・レビューへ
にほんブログ村