263本目のゲームレビューです。
評価
94点
〇神ゲー
莫大な開発費と人員がかかっただけあってグラフィック、ストーリーなど非常に厚く高クオリティなAAAタイトルです。
『ゴースト・オブ・ツシマ』や『ライズ オブ ローニン』が楽しめた人は本作も楽しめるでしょう。
アサクリシリーズ初めての人でもおすすめです。
『アサシンクリード シャドウズ(Assassin's Creed SHADOWS)』とは
発売日・対応機種
発売日 | 対応機種 |
2025年3月20日 | PlayStation5/Xbox Series/PC |
どんなゲーム?
大手ゲーム会社のUBISOFTの開発・販売するオープンワールドアクションRPG
感想など
リリース前の炎上について
『アサシンクリード シャドウズ』は、1作目の『アサシンクリード』(2007年発売)から17年以上続いている人気オープンワールドアクションゲーム「アサシンクリードシリーズ」の2025年の新作です。
同シリーズは古代エジプト(『オリジンズ』)から北欧ヴァイキング(『ヴァルハラ』)まで様々な地域と時代を舞台としてきましたが、今作の舞台は安土桃山時代の日本となり、大きな注目を集めました。
しかし、発売前に公開された情報で主人公の一人が黒人の侍「弥助」であるということが明かされると、昨今の多様性や人種問題などポリコレのねじ込みを嫌う層の人らを中心に反発を招いて批判が噴出し、炎上してしまいます(「弥助問題」)
そもそも信長に仕えた黒人の弥助なる人物は歴史の記録上にも残る人物であるし、フィクションの設定が加わったケースも過去に『仁王2』など他のゲーム作品で登場した例があるので本作だけ批判を受けるのもおかしい話です。
しかし、炎上は本能寺の変が如く燃え広がり、本作はなにかにつけてイチャモンをつけられることになります。
その後もトレーラーで、弥助が神社の敷地内で敵を攻撃したり、破壊して暴れまわる描写に対して「神聖な場所で暴れるのは不敬」だとか「文化の冒涜」といった過剰な批判が寄せられます。(※そもそも、日本を舞台したゲームで寺社内の戦闘など珍しくもない)
このような、発売前のネガティブな意見はまさに「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」といった感情的なイチャモンや重箱の隅をつつく様な言い掛かりが殆どで、実際にリリースされた本作は日本の歴史や文化を十分にリサーチし、ちゃんと尊重されているものでした。
もし、本作に興味を持ちながらも発売前の炎上騒動を理由に敬遠している人がいるのなら、馬鹿げた批判は気にせずプレイしてみて欲しい、とまず伝えておきたいです。
ゲームプレイについて
『アサシンクリード シャドウズ』のゲームプレイについては、よく言われているように「いつものアサクリ」です。(たまに、批判の意味で「いつものアサクリです👎😞 」という人を見かけるけど意味がわからない。いつものアサクリで何が悪いんだ…)
広大なマップを探索しながらファストトラベル地点を開放し、周囲のアクティビティやサイドクエストをこなしていく、テンプレ的なUBIのオープンワールド構造です。


ただし、いつもと違うのは、本作が奈緒江と弥助のダブル主人公制である点です。
奈緒江は、鍵縄で屋根を移動したり、壁越しに敵の位置を感知するなど、移動・潜入・暗殺に優れた隠密キャラです。
一方の弥助は、鍵縄を使えないばかりか、体が大きいため壁の穴は通り抜けできないし、綱渡りでは綱が切れてしまうほど潜入に不向きです。ですが、その代わり戦闘力は非常に高く、ステータスは奈緒江を大きく上回るため、ステルスなどしなくても正面から突入して敵を一網打尽にできます。
このように、奈緒江と弥助ではプレイスタイルがまったく異なり、同じミッションでもアプローチを変えて攻略できる点が非常に面白いと感じました。


また、ゲームプレイで地味に良かったのは、ミッションの目標地点が最初からピンポイントでマークされるのではなく、「このあたりのどこか」といった曖昧な範囲で表示される点です。
これによって、オープンワールドにありがちな「マップは広いのにクエストマーカーに従うだけの一本道進行」という感覚がある程度解消され、周囲を自分で探索する楽しみがちゃんと残されていると感じました。
美麗なグラフィック
『アサシンクリード シャドウズ』のグラフィックは、現在のゲームの中でも最高クラスの完成度といえる仕上がりで、戦国時代末期の日本を圧倒的な密度と臨場感で描き出しています。
特徴的なのは、景色の変化が昼夜だけではなく、日本らしい四季の移り変わりがある点で、春夏秋冬の各シーズンで異なる風景が見られます。




また、風を感じさせるような演出も見事で、草木の揺れ、風に舞う落ち葉など空気感までリアルに作り込まれています。
アサクリシャドウズ、移動中いろんなところで足を止めては、この場所キレイだなーって見入ってる
— エビマヨ (@nahco3ebimayo) 2025年3月23日
ここは舞い散る秋の紅葉の表現がすごい風を感じる pic.twitter.com/qzdG9nvpPw
キャラクターの造形については、織田信長や明智光秀など見慣れたコーエーテクモ風の美男美女でなく、そこらにいそうな素朴な日本人顔なのが特徴ですが、実際はこんな感じだったのかなと思わせるリアリティがあります。
特に日本語の発音に合わせた口の動き(リップシンク)や各シーンでの表情などは高い技術力で作られていると感じさせる仕上がりでした。


映画のように作り込まれたシナリオ
『アサシンクリード シャドウズ』のストーリーは、伊賀の里の忍者「藤林奈緒江」が、父の命と重要な秘密のある「箱」を奪い去った謎の集団「百鬼衆」から、箱を取り返して父の仇を討つため追いかけるという物語です。
昔の時代劇や西部劇を彷彿とさせる様式美に満ちた復讐劇で、ムービーやカットシーンはまるで映画のように綿密に作り込まれています。
特に、百鬼衆が一斉に登場する場面は、昭和の日本映画的な大仰なBGMと相まって、演出として非常に印象的なシーンでした。


また、もう一人の主人公である弥助の話もとてもよく作り込まれています。
異国出身、黒人という立場でありながら、日本の文化に触れ、吸収し、侍として成長していく姿が丁寧に描かれています。
キャラクターとしても情に厚く、誠実な人物として描かれており、非常に好感が持てる主人公です。奈緒江の真似をしてイーグルダイブするけど失敗するなどコミカルな面を持ち合わせてるのも魅力ですね。
さらに、メインストーリーだけでなく、サイドストーリーでも登場人物の背景や信念がしっかりと掘り下げられており、物語全体に厚みをもたらしています。
さすがにAAAタイトルだけあって、アクションだけでなく物語としての完成度にも相当な力が注がれている作品だと感じました。
盛りだくさんのボリューム
本作は、メインミッションだけでもかなりのボリュームがあります。
まず、復讐の対象である百鬼衆が12人中11人も残っており、それぞれ「関係者の協力を仰ぐ」、「敵の正体を探る」など、複数の準備ミッションを経てようやく対決できる仕組みになっています。
また、サイドミッションとして登場する暗殺対象の集団も豊富です。悪代官、海賊同盟、悪の忍びたちなどなど、バリエーションも多彩で、こちらは百鬼衆のような下準備は不要ですが、とにかく沢山いるので全て相手にしようとするとかなり時間を取られます。
さらに、「九字切り」や「形」などのアクティビティがマップ中のいたるところに配置されており、各地の城では侍大将を探して暗殺する「城攻め」もあります。寄り道ばかりしているとなかなかメインストーリーが進まないほど充実したボリュームです。私は、メインストーリークリアのスタッフロールを見るまでに70時間かかりましたが、それでもまだ全てを消化しきれていません。


ただし、コンテンツ量は確かに多いのですが、ゲームプレイ自体に大きな変化は起こらず、やる事は同じで単調になりがちなため、30〜40時間もすればダレてくるかもしれません。
全体として、かなりのボリュームを誇る作品なので、何でもかんでも全部やろうとせず、ストーリーを中心に無理なく寄り道を楽しむくらいがちょうどいいかもしれませんね。
まとめ
『アサシン クリード シャドウズ』は、安土桃山時代の日本を、最高水準のグラフィックと圧倒的な作り込みでオープンワールド化した作品です。
映画のようなストーリー、音楽、演出など、あらゆる要素がハイクオリティに仕上がっており、AAAタイトルならではのスケールと完成度を感じさせてくれます。
発売前には炎上騒動もありましたが、実際にプレイしてみれば、当時騒がれていた批判のほとんどが的外れなイチャモンだったと気づくはずです。
あの炎上時の批判を真に受けてスルーしてしまうのは、正直もったいないです。
むしろ、「海外の人にはわからなくても、日本人ならわかる」といった部分が沢山ありますので、日本人にこそプレイしてもらいたい一本だと思いました。
以上
『アサシンクリード シャドウズ』のレビューでした。
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