272本目のゲームレビューです。
個人的な評価
84点
〇かなりの良ゲー
幻想的なアートスタイルと音楽も素晴らしいですが、なにより、パリィを中心としたバトルが非常に面白いです。
『Clair Obscur:Expedition 33(エクスペディション33)』とは
発売日・対応機種
発売日 | 対応機種 |
2025年4月24日 | PlayStation5/Xbox Series/PC |
※GAME PASSで発売日からプレイ可能(DAY1タイトル)
どんなゲーム?
フランスに拠点を置くSandfall Interactiveが開発し、Kepler Interactive(国内ではセガ)が販売するJRPGライクなターン制バトルのRPG
感想など
フランス産JRPGって何
『Clair Obscur:Expedition 33(以下「エクスペディション33」)』は、ファイナルファンタジーなどの日本のJRPGに強く影響を受けた、フランス産のRPGです。
海外のRPGというと、多くは、「The Elder Scrolls」や「The Witcher」のように、アクション重視のARPGが主流ですが、本作は日本のRPGに多く見られるターン制コマンドバトルを採用しています。
他にも、味方キャラが横一列に並ぶ隊列配置や、ダメージ表記のカンスト「9999」など、JRPGらしい様式美を備えています。さらに、フィールドマップの存在やシンボリックエンカウント方式など、バトル以外のシステム面でもJRPGならではの要素が随所に見られます。




とはいえ、単なるJRPGの模倣ではなく、海外ゲームらしい要素も随所に取り入れられています。
主役はJRPGにありがちな少年ではなく中年(といっても33歳)のオッサンですし、ストーリーもジュブナイルな冒険譚ではなく家族の悲哀を描いた大人向けで複雑な物語となっています。
このようにエクスペディション33は、JRPGをリスペクトしつつも独自のセンスを取り入れて昇華させた、まさにフランス産JRPGとなっています。
「パリィが主役」のターン制バトル
エクスペディション33はターン制のコマンドバトルを採用していますが、プレイヤーと敵の行動時にタイミングよくボタンを押すことで、攻撃の威力を上げたり、敵の攻撃を回避・パリィができるスーパーマリオRPGのようなアクション要素があることが大きな特徴です。


なかでも特に楽しいのは敵の攻撃に対するパリィです。
パリィは回避より入力タイミングの猶予が短いためリスクは大きいのですが、成功すれば被ダメージを無効、APの獲得、カウンターで反撃など大きなリターンがあります。
何より、パリィを決めたときの感触がとても気持ちよく、敵の連続攻撃を全て受け止められた時の爽快感は格別です。
エクスペディション33やっぱバトルはめちゃくちゃ面白いわ
— エビマヨ (@nahco3ebimayo) 2025年5月10日
パリィゲーすぎるのが楽しい😃
今のところ3人娘をレギュラーで使ってます
おっさんも強いけどね pic.twitter.com/24e9G0d3lb
本作のパリィは、アクションゲームのそれと比べると、ターン制で敵の行動が一人ずつ行われるため、動きに集中しやすく、反応しやすいというのも良い点です。
アクションが苦手な人でも、何度か挑戦を繰り返せばタイミングが掴めるようになり、多くの攻撃を弾き返せるようになるでしょう。
一方、回避はタイミングに多少の余裕があり成功しやすいのですが、パリィほどの爽快感やリターンがないため、私はあまり使いませんでした。
また、攻撃時のQTEについては、アクセシビリティ設定で自動成功にできるため、最初からオートに設定していました。というのも、QTEにはあまり面白みを感じず、ぶっちゃけ、手動でやるより自動で済ませてしまったほうがテンポも良く、楽だったからです。
気になった点 - マップなしのダンジョン探索がモヤモヤする理由
パリィを軸にした戦闘は非常に楽しいエクスペディション33ですが、戦闘以外の部分は普通で、気になる点もいくつかありました。
なかでも最も気になったのは、ダンジョンや施設内でマップを確認できないことです。
マップ構造が広く複雑なうえ、どこが既に探索済みなのか、アイテムを取り逃していないかも確認できないため、探索がとてもモヤモヤします。
ちなみに私はRPGでは「まず正規ルート以外の場所から潰す」タイプなので、宝箱などの取り逃しがあるまま、間違って正規ルートを進むのが嫌いな性格です。道が枝分かれしていたら「正しい道の方はハズレ」です。
こういうプレイスタイルの私にとって、全体マップなしのダンジョン探索はストレスになることもありました。
ミニマップの非表示は没入感の演出として一定の理解はできるものの、全体マップ表示だけでも欲しかったというのが正直なところです。
美しく悲壮感漂うダークファンタジー
エクスペディション33はベル・エポック時代のフランスを彷彿とさせる幻想都市「ルミエール」を舞台にしています。
そこでは、毎年、ペイントレスという女性が巨大なモノリスに数字を描き、その数字の年齢の市民が抹消されていくという理不尽な運命を課せられています。
追い詰められた人々は、抹消を止めるべく、遠征隊を結成し、ペイントレスの討伐に向かうというのが本作のストーリーです。


ところで、モノリスに描かれる数字は35、34、33と毎年小さくなっていくのですが、そうすると例えば「35」が描かれた時には34歳でセーフだった人が、34が描かれたときには歳を取って35歳になるのでこれまたセーフになってしまう気がするのですが、そこのところはどうなんですかね…。
ともかく、第一章は、33歳でルミエールの最年長者となったギュスターヴを主人公として、世界の謎と真実に迫るためモノリスを目指すことになります。
旅は、エスキエやモノコなど個性豊かで頼もしい仲間との絆も描かれますが、基本的には常に陰鬱で重く、シリアスなダークファンタジーです。
しかしながら、抹消されてしまう人の花びらが舞い散るように消えゆく描写や哀愁を帯びた旋律の音楽により、最初から最後まで非常に儚く美しい物語となっています。
エンディングを迎えた後も、深い余韻とともに、強く心に残る感動がありました。




まとめ - 「JRPG愛」と「フランスの美意識」が融合した濃厚な一本
エクスペディション33は、JRPGへのリスペクトを随所に感じさせながらも、独自の美学と世界観を打ち出したフランス産の良作RPGです。
ターン制コマンドバトルにQTEやパリィを取り入れた戦闘は、緊張感と爽快感があり、特にパリィの快感は中毒性があります。一方で、マップの不便さやダンジョン探索のストレスなど、粗さや気になる点もあるものの、ストーリーの完成度は非常に高いです。
JRPGが好きな方、哀愁漂う美しい物語に惹かれる方は、ぜひプレイしてみてください。
以上
『Clair Obscur:Expedition 33』のレビューでした。
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