
297本目のゲームレビューです。
個人的な評価
??点 ※総合スコアはレビューから30日後以降に更新されます。
〇かなりの良ゲー
ホラー好きなら◎神ゲー
ストーリーがよくできてるし雛子のキャラクターも最高です。
怖すぎて周回がしんどいのが惜しい!
『サイレントヒルf(SILENT HILL f)』とは
発売日・対応機種
| 発売日 | 対応機種 |
| 2025年9月25日 | PlayStation5/Xbox Series/PC |
どんなゲーム?
サイレントヒルシリーズの新作としてコナミデジタルエンタテインメントが企画・監修・販売を行うホラーゲーム
開発は台湾を中心に活動する中華系のゲーム会社であるNeoBards(ネオバーズ)
CERO:Z(18才以上のみ対象)
性差別や児童虐待、いじめ、薬物による幻覚、拷問、強い暴力表現が含まれます
感想など
日本が舞台のサイレントヒル
『サイレントヒルf』は、コナミの人気ホラーアドベンチャーシリーズ「サイレントヒルシリーズ」の『SILENT HILL:DOWNPOUR(PS3/Xbox)』以来13年ぶりとなる新作タイトルです。
本作の特徴はなんといっても、物語の舞台がアメリカではなく日本となっていることです。場所は「戎ヶ丘(えびすがおか)」という架空の田舎町です。
サイレントヒルなのに静岡ではないんですね。
時代は1960年代です。
テレビが白黒からカラーに移り変わり「巨人・大鵬・卵焼き」が流行語になった高度経済成長期の日本が描かれています。
私は、この頃に生まれていないので当時の様子は知りえませんが、非常に美麗なグラフィックで昭和中期の日本の田舎町がリアルに再現されています。

シナリオは、『ひぐらしのなく頃に』などで知られる竜騎士07氏が書いており、日本の土着の神や呪いが題材に取り入れられ、日本のホラーでは定番の学校や古い社がロケーションとして登場します。
つまり、本作は舞台となる国をたんに日本に移しただけでなく、ホラージャンルとしても立派な「和風ホラー」となっています。
只者ではない女子高生「深水雛子」
『サイレントヒルf』の主人公は、女子高生の「深水雛子(しみずひなこ)」です。
若手女優の加藤小夏さんをモデルとした彼女は、昭和にしては現代的なビジュアルの美少女で、同学年でも相当モテたのではないかと思わせます。
しかし、気が強くて男まさりな性格が災いして、クラスではやや浮いた存在となっていました。

ところが、実際にプレイしてみると、雛子…いや、雛子さんは、体育会系の女子高生どころか武闘派で歴戦の戦士かの勇猛さを見せます。
鉄パイプを握りしめ俊敏なフットワークで化け物の攻撃をいなしてカウンターを入れる様は、普通の女子高生などではなくブラッドボーンの狩人です。
序盤の駄菓子屋に現れた化け物に対して「帰りな……今日はもう閉店だよ。」と余裕の決め台詞を放ったと思えば、後半では「苦しみながら○ね!」、「ぶっ○してやる!」と闘争本能をむき出しにするほどです。

とはいえ、これは極限状態の恐怖の裏返しであるとも考えられます。私自身もビクビクしながら敵と戦い、恐怖を隠すように「それ以上近づいたら○すぞ!」などと強がっていました。
人は本当に怖いと逆ギレして攻撃的になってしまうのかもしれませんね。


俳優の演技については、まだ未熟さはありますが芝居じみた大袈裟さがなく、かえって自然というか生々しい感じがして良かったと思います。
あと、健全な男子なら覗き見を試したであろう雛子のスカートの中ですが、残念ながら深淵となっており、どうあがいても見れません。衣装に昭和のブルマもありません(^_^;)
まぁ、実在の女優からモデリングしたキャラクターなのでハレンチNGなのは仕方ないかもしれませんね。
ソウルライクな近接バトル
『サイレントヒルf』では、武器は鉄パイプや包丁といった近接武器のみで、銃火器は一切登場しません。
雛子なら、ショットガンやロケットランチャーくらい使えそうなものですが、舞台が日本で和風ホラーである以上、チャカはなしです。
戦闘で使用するアクションは、通常攻撃と強攻撃に加えて、敵の攻撃を寸前で避ける「見切り回避」や敵の攻撃の攻撃にカウンターを合わせる「見切り反撃」などもあり、ホラーゲームとしてはアクションゲーム並みに本格的です。
見切り回避はいわばジャスト回避ですが、見切り反撃の方は最近のアクションゲームでよく見られる「パリィ」とはちょっと違います。
敵の攻撃を受け止めて弾くのではなく、仁王2の猛タイプのように相手の攻撃開始モーションに攻撃を当てて出鼻を挫くカウンターです。

ほかにも敵に大ダメージを与える渾身の一撃などもありますが、武器耐久力と精神力ゲージの上限が大きく減るので、やはりメインは見切りになります。
難易度は一番簡単な「物語重視」にしてもそこそこ手強いです。ボス戦などは、もはや完全にアクションゲームでソウルライクを思わせるほどです。
難易度はゲーム開始時に選択した後は途中で変更できないため、アクションが得意でない人は一周目は潔く最低難易度の「物語重視」で始めるのがおすすめです。
めちゃくちゃ怖い
『サイレントヒルf』はホラーゲームなので当然といえば当然ですが、とにかく怖いです。
私は、これまで散々怖いのが苦手と言いつつも、なんだかんだでホラーゲームをプレイしてこれたので、さすがにもう慣れてきたんじゃないかと思っていたのですが、その鼻っ柱を折るほどの怖さでした。
『リトルナイトメア』や『Alan Wake 2』、『Ghostwire:Tokyo』よりも全然怖いです。



個人的に一番苦手だったのはカカシの化け物で、田んぼの謎解きパートでは謎が解けずゴリ押しで突破しようとして武器が全部折れかけたことも含めて結構なトラウマです。

あとは、民家の探索でツギハギの化け物が倒れていて、絶対起きて襲ってくるんだろうなと思ってたら目を離した隙に忽然と消えていたとこがめちゃくちゃ怖かったです。

本作に限ったことではないですが、クリーチャーにしても、ロケーションにしても異形度が進みすぎてないほうが逆に怖いですね。魔界みたいになった場所で異形の魔物に出くわすより、現実的な場所で人の形を残したクリーチャーに遭遇するほうがゾッとします。

周回プレイ前提
『サイレントヒルf』は周回プレイを前提とした物語構成になっており、一周クリアしただけでは物語の全容は明らかになりません。
エンディングは5種類用意されており、真エンドに到達するには最低でも3周する必要があります。
これは単に周回でプレイ時間を引き伸ばすためではありません。ゲームのボリュームは1周目クリアまででも十分にあります。
周回プレイ前提となっているのは、2周目以降のプレイで1周目のシーンの意味や見方が変わってくる仕掛けになっているためです。
2周目以降では一部のシーンは変化し、同じシーンでも「あの時のこれはそういう意味だったのか」という答え合わせになっています。

とはいえ、1周目で結構お腹いっぱいのヘトヘトになるので周回はしんどいといえばしんどいです。
2周目以降は、一部のイベントは省略されたり、カットシーンをスキップする際に見たことある内容か新しいシーンなのかわかるようになっているなど配慮はされていますが、やはり2周目以降は作業感が強いです。
1周目クリアで一番難しいアクション難易度の「五里霧中」が解禁されますが、逆に作業部分を大幅カットしてさらに物語に集中できる「動画で済ますくらいならこちらで」モードがあっても良かったかもしれませんね。
感想と考察(ネタバレ)
以下、『サイレントヒルf』のネタバレを含む考察です。
ここでは妄想や推測は抜きにして、ほぼ確定と考えられる要素のみを箇条書きでまとめました。
考察
- 雛子は女子高生ではなく、縁談で嫁入りすることになった20代
- 社パートだけでなく戒ヶ丘パートも雛子の精神世界
- 修が渡してた怪しい薬はただの鎮痛剤ではなく危険な副作用を持った麻薬
- 雛子は結婚の拒絶感で修の薬を過剰摂取し、オーバードーズすることによって戒ヶ丘と社の精神世界に女子高生の姿で迷い込んだ
- 修が「相棒の選択を応援する」というのは、嫁入りする雛子に対しての言葉
- 咲子が「裏切者」というのは唯一の友達の雛子が離れていってしまうから
- 狐面の男は、子供の頃に狐に襲われたところを雛子に助けられた寿之で今回の縁談の相手
- 寿之自身も狐に呪われている被害者
- 腕を切り落として付け替える、背中に焼印を入れる、顔面を剥がして仮面を移植するなどの儀式は雛子が結婚に抱くイメージ
- 雛子は「雛子を嫁がせたい狐」と「嫁入りを妨害したい人形(正体は神)」の2つの神秘的存在の争いに巻きこまれ、結果、雛子は2つに引き裂かれ戦わされている
いわば、結婚する「狐の嫁入り」ENDは狐ルート、結婚から逃げる「狐その尾を濡らす」ENDは人形ルート、そして両方に抗う「静寂なる戒ヶ丘」ENDが雛子ルートですね。
考察を経てストーリー全体を振り返ると、実によく錬られた物語だと思いました。
最初はホラーゲーム特有の雰囲気と勢いで押し切るタイプかと思っていましたが、意外にも脚本がしっかりしており、昭和の男尊女卑の時代に生きる雛子の葛藤や、主体性と自己選択の尊重、家族や友人との関係などが丁寧に描かれています。
まぁ、個人的には修より狐面派ですね。「容姿も性格もイケメンだし、金持ちだし、めっちゃいい縁談じゃん!」って思います。外野が余計なことしなければ意外に丸く収まってたんじゃないでしょうか。
プレイ中は恐怖ばかりであまり余裕はありませんでしたが、終わってみると良い体験ができたなとしみじみ思わせてくれるゲームでした。

以上
『サイレントヒルf』のレビューと感想でした。
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