
300本目のゲームレビューです。
個人的な評価
??点 ※総合スコアはレビューから30日後以降に更新されます。
〇神ゲー
美麗なグラフィックで描かれる羊蹄山とそこに広がる大自然で遊ぶオープンワールドが非常にエモい。
『Ghost of Yōtei(ゴースト・オブ・ヨウテイ)』とは
発売日・対応機種
| 発売日 | 対応機種 |
| 2025年10月2日 | PlayStation5 |
どんなゲーム?
PlayStation Studiosの一つであるサッカーパンチプロダクションズが開発し、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)が販売するオープンワールドアドベンチャーゲーム
CERO:Z(18才以上のみ対象)
感想など
舞台は北海道の羊蹄山周辺
『Ghost of Yōtei(ゴースト・オブ・ヨウテイ)』は、2020年に発売された『Ghost of Tsushima』(以下「ツシマ」)の続編的なタイトルで、ツシマからおよそ329年後の1603年の時代の日本をリアルに表現したオープンワールドアドベンチャーゲームです。
物語の舞台は、タイトルにあるとおり、北海道後志地方南部にある羊蹄山とその周辺の土地をモデルとしています。
羊蹄山は、蝦夷富士とも呼ばれる美しい山でゲーム内でも雄大にそびえ、本作の非常に美しい景観を象徴する存在となっています。

圧巻のグラフィック
『Ghost of Yōtei』の最大の魅力と言えるのが、現時点で発売されているゲームの中で最高峰とも言えるグラフィックです。
前作のツシマも非常にリアルで美しいグラフィックを実現していましたが、本作はプラットフォームがPS5へ移行したことで、その美しさに更に磨きがかかっています。
風の表現は特に素晴らしく、揺れる草原の草や花、舞い散る葉の一枚一枚までが独立しているように細かく描かれており、非常に臨場感と迫力があります。
人物や動物も丁寧に描写されており、スクリーンショットの撮り方次第では、現実の写真と見分けがつかないほどフォトリアルです。


もちろんフォトモードも用意されており、歩き回ってこの美しい風景を撮るだけでも十分に楽しめます。
一面花畑など、あまりにも美しすぎる景観だと、かえってファンタジーじみて現実感に欠ける部分もありますが、どこを切り取っても絵になるようなアートワークは本当に見事です。
アサクリシャドウズと被ってる問題
『Ghost of Yōtei』の発売のわずか半年前に、同じように中世日本を舞台としたAAAタイトルが発売されています。それがUBIソフトの『アサシンクリード シャドウズ』です。
- 16世紀末から17世紀初頭の日本が舞台のオープンワールド
- 主人公の父が殺され復讐の旅に出る
- 父の仇が面をつけた集団
- グラフィックが非常にリアルで美麗
- 武器に鎖鎌がある
など、共通点はとても多いです。


ちなみにパクリとかではなく、まる被りだと思われます。
映画などでもよくあるやつですね。たまたまホワイトハウスで起きるテロを扱ったアクション映画が同時期に2本公開されちゃったみたいな(※1)
2本とも今年注目のビッグタイトルなので何かと比較されがちかもしれませんが、両方プレイした身としては優劣をつけるのは難しいです。
理由はどちらもグラフィック、ストーリー、サウンドが非常に優れた素晴らしいゲームだからというのも一つですが、両ゲームの方向性や本質が意外と異なるという点もあります。
アサクリは、ゲーム性に華やかさや派手さがあって、「UBIのオープンワールドだ!オラーッ!!」という印象ですが、ヨウテイは、物語の重さに鈍重でもリアリティと雰囲気を優先していて、「羊蹄山の大自然美しいだろ!ドン!!」という感じです。多分。
たとえるなら、「どん兵衛」と「赤いきつね」なら比べられるけど、「どん兵衛」と「ボンカレーネオ」なら、そんなの気分次第じゃねって感じです。
結局、この2作の発売で一番悲しい立場に追いやられたのは『ライズ オブ ローニン』だったりします(ゲームの面白さとシステムの親切さは負けてない!)
※1 同時期に出た似た内容の映画
2013年公開の「ホワイトハウス・ダウン」と「エンド・オブ・ホワイトハウス」
駆け引きと受け流しが重要な戦闘
『Ghost of Yōtei』の戦闘は前作ツシマと基本的には同じです。
ツシマでは槍持ちや盾持ちといった敵に合わせて「型」を使い分けていましたが、本作でも同じように敵の装備に応じて、太刀、二刀、槍、大太刀、鎖鎌の5種類の武器を持ち替えながら有利に戦闘を運ぶシステムです。
難易度選択はありますが、全体的に本作の戦闘は高難易度寄りです。
敵との斬り合いにおいては受け流し(いわゆるパリィ)が非常に重要で、これをうまく使いこなせず闇雲に刀をブンブン振り回しているだけでは、難易度最低でも苦戦するくらいです。

近接武器以外には、弓や玉などの遠距離飛び道具、クナイや煙玉などの近距離飛び道具があるので、これらを使って姑息に立ち回る戦い方もあります。
ただし、飛び道具は持ち替え操作がいまいち煩雑でいざという時に武器の切り替えで混乱してしまいやすいと感じました。
カテゴリが遠距離と近距離に別れてるのもややこしいし、遠距離飛び道具は、そこから弾の種類の選択まで細分化されています。
たとえば、戦闘開始した瞬間、敵集団に焙烙玉を投げようとしても、装備が弓になっていたら、まず弓から玉に切り替える必要があります。さらに、玉を装備しても投げる玉が焙烙玉でなく目潰し玉がセットされてたらそこから玉の種類を切り替えるという2段階の切り替えが必要です。
持ち替えでパニクって、違う玉を投げてしまったり、持ち替えが間に合わず、袋叩きにされてイラッとすることがしばしばありました。

個人的にはエルデンリングのように、使うものだけ装備してセットしておく方式でもよかったかなと思います。
種類がいっぱいあってもおっさんには扱いきれません。脳が追いつかないぞ(^_^;)
ステルスアクションも充実
敵を倒す手段として前作同様に隠密(ステルス)からの闇討ちもあります。
ステルスゲームの基本は備わっていおり、中盤で周囲の敵を察知してハイライトさせる技能を習得すれば本格的にステルスで拠点制圧ができるようになってきます。

前作で猛威を奮った混乱針の吹き矢は登場しませんが、長弓で3体の敵を同時に狙撃したり、草むらから鎖鎌で引き寄せて暗殺などの技を覚えると隠密での攻略は格段に楽になります。
本作のステルス自体は一般的なステルスゲームによくあるものと大差ないですが、「暗殺射程範囲にいる相手は黄色にハイライト」、「暗殺射程範囲だが暗殺すると周囲に発覚する相手は黄と赤にハイライト」というように情報が見やすくなっているのはとても良いですね。

もちろん隠密で攻略するかどうかはプレイヤーの自由です。
ステルスアクションが苦手な人は一騎打ちで正々堂々と切り込むのもありですし、遠くから焙烙玉や長弓で掃討していくのもありでしょう。かかる時間で言えばこっちのほうが素早く制圧できます。
私の場合はステルスプレイが好きなので、時間がかかってもできるだけ隠密行動で進めていました。
オーソドックスなオープンワールド
『Ghost of Yōtei』は、リアリティのある体験や没入感を重視しつつも、ゲームとしては至ってオーソドックスなオープンワールドです。
北海道の形状の広大なマップを、風を頼りに様々なアクティビティへ向かって馬で駆け巡ります。一度訪れた場所なら地図から一瞬でファストトラベルできるので探索はとても快適です。
探索・収集要素をプチプチと潰していくのが楽しく、稽古台や温泉巡りに夢中になるあまり、ついメインの復讐がそっちのけになってしまうこともしばしばです。


本作の良くできてるところは、特に探し回らなくても道中で次から次へとアクティビティが自然と見つかる点です。
地図師から買った地蔵の場所に向かう途中で鳥に案内されて狐の巣を発見したり、野営をしたら立ち寄った浪人が狼のいた場所を教えてくれたり、流れで斬りつけた野良の斎藤一派が拠点の場所を吐いて、その拠点を制圧したら村人が温泉の場所を教えてくれたり、そうこうしてる内に地図師が新しい地図を入荷してたりなどアクティビティには事欠きません。

また、本作では同じアクティビティでも一風変わったネタを仕込んで、ただのコピペ作業にならないように工夫されています。
たとえば稽古台なら、単に竹を切るだけでなく、酒を飲まされたり、片手で挑まされたり、雷が落ちるトラップがあったり、浪人を排除しないといけないのかと思いきや、熊が2体襲いかかってきたり…と、様々な味変が用意されています。
ネタ要素のある味変も多いですが、中でも一番シュールで面白かったのは、フンドシ姿のオッサン3人が、篤を見た瞬間に崖を滑り降りながら逃げていく温泉でした。



復讐がテーマのストーリー
『Ghost of Yōtei』のストーリーは、斎藤率いる羊蹄六人衆に親を殺された主人公の篤が仇を討つために、6人の名を帯に刻み旅をする物語です。そして、篤の鬼気迫る恨みと憎しみは、やがて人々から「怨霊」と呼ばれ恐れられる存在へと変わっていきます。

こう聞くと単なる復讐劇のように聞こえますが、私はどちらかというと本作は仇討ちそのものの過程を描く復讐劇ではなく「復讐を物語のテーマとした人間ドラマ」だと思いました。
篤は旅の中で様々な人々・仲間と出会います。この出会いと交流で篤の復讐の炎がくすぶり続ける心中が変化していく様子が丁寧に描かれています。

キャラクターはよく言われているようにツシマほど個性的ではありません。といってもツシマのクズ先生こと石川先生とバーサーカー政子が強烈すぎただけですが。
本作のキャラクターは、個性は控えめですが、人の良さや義理堅さなど、ツシマとはまた違う方向で惹かれる魅力的なキャラクターとなっています。

私が一番好きなキャラクターは、やはり主人公の篤です。
序盤こそ、まさに復讐に取り憑かれた怨霊という感じでしたが、ストーリーを進めたりサブクエストをこなしていくと、意外に面倒見が良く、ピュアな一面が見えてきます。
「銭次第だ」とはいいつつも、なんだかんだで面倒ごとを引き受けてくれたり、純粋すぎてコロッと騙されるあたりは龍が如くの桐生一馬に近い印象と親しみやすさがあります。やたらとチンピラ(浪人)に絡まれるあたりもなんか似てますね。

他には、地図師の伊三郎、弓師の蘭、十兵衛とお雪も好きです。
地図師の伊三郎は、本作で一番個性的なキャラクターだと思います。独特な九州弁がクセになりますね。
弓師の蘭は「眉間を狙うんやで」というセリフが印象的です。もう少しユニークな面白エピソードなんかを追加してあげれば、ツシマの石川先生や政子くらい尖ったキャラになれたかもしれません。ちょっと勿体ないかな。


十兵衛は正義感が強く熱血漢な侍らしい侍で、篤よりも主人公っぽいキャラクターだと思いました。
ネタバレなので隠しますが、最後の最後で死ぬ必要はなかったんじゃないかなと思います。重症でも普通に生きてて欲しかった…。(クリックで見れます)
お雪は、今までにいないタイプの艶やかな雰囲気を持ったキャラで、さらに頼りになる存在です。途中で篤を庇って死ぬ展開とかありそうで心配しましたが、最後まで生きてて良かったですね。

逆にイマイチだったのは、各武器の師匠の方々(半兵衛、吉田、高橋、榎本)です。
揃いも揃って石川先生には敵わないですね。
もうちょっとクズでも良かったんじゃない?
まとめ
『Ghost of Yōtei』は、『Ghost of Tsushima』と同じく日本の和の文化に強いこだわりを持って作られ、北海道の自然や風景、現地に生きる人々や動物を、美麗なグラフィックと音楽でゲーム世界に落とし込むことに成功しています。
ストーリーやゲームプレイも高水準で、スパイダーマン2やゴッド・オブ・ウォー ラグナロクに並ぶ、PlayStationの顔となる大型タイトルと言って良い出来だと思います。
サッカーパンチが今後どのようなタイトルを出すかはまだ明らかになっていませんが、次なる新作にも大いに期待したいですね。

以上
『Ghost of Yōtei』のレビューと感想でした。
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