182本目のゲームレビューです。
評価
81点
〇良ゲー
精神疾患を抱えるキャラクターの心理的な苦悩を描いたストーリーは好みが分かれると思いますが、セヌアの細部にわたるまで作り込んだ表情やモーションによる圧倒的な表現は素晴らしいです。
すべてのシーンが、とても「暗い、重い、グロい」で、非常に尖ったゲームです。
『Hellblade:Senuas Sacrifice』とは
発売日・対応機種
発売日 | 対応機種 |
2017年8月8日 | PlayStation4(5)/PC(Steam) |
2018年4月11日 | Xbox one(Series) |
2019年4月11日 | Switch(海外版のみ) |
どんなゲーム?
『DmC:Devil May Cry』を開発したNinja Theoryが、自社でパブリッシングも担当し、開発からリリースまでおこなったダークファンタジー世界観のアクションアドベンチャー
北欧神話の伝承とヴァイキングの時代に、精神疾患を抱えるケルトの戦士セヌアは亡くなった恋人の魂を救い出すために神々の試練に挑む
感想など
深いストーリーが中心のゲーム
『Hellblade:Senuas Sacrifice』(以下「Hellblade」)は、「北欧神話」、「ヴァイキング」、「戦士」というワードや戦闘シーンのヴィジュアルなどから一見するとゴッド・オブ・ウォーのように異形の怪物をハック&スラッシュでなぎ倒していくようなアクションゲームに見えます。
しかし、これについては、実は違います。
Hellbladeは、主人公セヌアの精神疾患による心理的な苦悩と狂気を描いた非常に暗くて重い物語が中心となっているゲームです。
セヌアは精神疾患による症状が幻覚や声として現れますが、彼女はそれを闇もしくは呪いと思い込んでいます。
彼女の現実と幻覚が交錯する体験は、プレイした人に不安や緊張感を感じさせるため、このゲームのもう一つのジャンルとして、サイコロジカルサスペンスといってもいいかもしれません。
ホラーゲームと言うほど怖くはありませんが、後半はちょびっと怖いシーンもあります。ただ、生々しくグロテスクな描写は結構多いので苦手な人は注意したほうがいいでしょう。
精密なフェイシャルアニメーション
Hellbladeでは、キャラクターの心理状態を表現するため、フェイシャルアニメーションに特に力を入れ、実際の演技を基にしたモーションキャプチャ技術を使用しています。
演じる役者の演技も素晴らしく、キャラクターの表情が非常に詳細で、セヌアの恐怖や苦痛、希望などの感情がリアルに表現されています。
シンプルだがやりごたえのあるゲームプレイ
Hellbladeのゲームプレイは戦闘とパズルの2種類です。ストーリーが中心のゲームなので基本的に1本道で探索要素はないといっていいでしょう。
というか、UIやゲーム的な要素はほとんど削っています。
まず、アイテム、装備、インペントリ、チェスト(宝箱)、ドロップといった概念はありません。
そして、ステータス、レベル、スキルツリー、スキルポイントといったシステムもありません。
もちろん、UIにライフやミニマップなど余計な情報は表示されません。表示される情報は字幕のみです。
面白いのは、一番最初の戦闘でも一切チュートリアルなど表示されないことです。
一応、このゲームのバトルは通常攻撃、強攻撃、格闘、ガード、パリィ、回避といったアクションを使いますがチュートリアルはUIでテロップが流れるのすらありません。
セガやスクエニのゲームだったら敵の攻撃直前に画面がストップして中央に「敵の攻撃が当たる直前にRBで攻撃を弾く」とかメッセージが出てきて没入感を台無しにするじゃないですか。そして、そのあとに「敵の攻撃を弾く…あと3回」とかつまらない練習させられるじゃないですか。そういうのが一切ない。…素晴らしい!
とはいえ、盾持ちの敵は蹴りを入れて体制を崩してから攻撃するとかは気づくのに時間がかかったりはしましたけどね。
戦闘は基本的に敵の攻撃をパリィで受け流してそこに攻撃していきます。
まぁ、先手必勝でがむしゃらに攻撃してもいいし、回避で横に回って攻撃しても余裕で戦えるのでパリィが苦手と言う人も問題はないでしょう。
ただし、このゲームのパリィは比較的簡単で敵の攻撃は見切りやすく、タイミングを誤って早めに出してしまってもガードになるだけのジャストガードタイプでローリスク、なにより決まった時に「ガキーン!」という音がとても気持ちいいのでパリィ中心に戦うのがオススメです。
パリィは攻撃モーション中でもキャンセルして出せるので複数の敵と同時に戦闘している時に横やりを入れられても、攻撃キャンセルしてパリィすれば結構取れて楽しいですよ。
個人的にはこの手の剣戟アクションの中ではトップクラスの楽しさです。
このゲームのもう一つのゲーム要素であるパズルについては、難しくはないものの、やはりヒントがほとんどでないため、場合によっては軽く詰みそうになることもあります。
パズルのほとんどが、「特定のルーンの形の地形を見つけてフォーカスする」です。
パズルはつまらなくはないですが、ほとんどがこのパズルなので「またこれか」的な反復感はありました。
独立系AAAゲーム
Hellbladeは非常に美麗な3Dのグラフィックスとモデリングから、いわゆるAAAゲームに見えますが実はそれほど大規模なゲームではありません。
大手ゲーム会社がパブリッシャーとなっているわけではなく、開発をしたNinja Theoryが自社でゲームを公開し販売するなどパブリッシングをしています。
このため同社はHellbladeを「独立系AAAゲーム」と自称しています。
ゲームのボリュームについても8時間程度で終わる内容となっています。しかし、このクリアまでの時間については、中身が非常に濃いので短いと感じることはないでしょう。
品質については間違いなくAAAゲームと言えるものです。
続編も発売
2024年5月21日に続編となる『Senuas Saga:Hellblade II』のリリースが予定されています。
Xbox及びPCで初日からGame Passに対応しているDay1タイトルになります。
続編は一体どのようなストーリーになるのか気になりますね。
Unreal Engine5によりさらに美麗になったグラフィック(PCで動くか心配(^_^;))にも期待です。
以上
『Hellblade:Senuas Sacrifice』のレビューでした。
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