213本目のゲームレビューです。
評価
89点
〇かなりの良ゲー
クラシカルな王道スタイルでありつつも、今どきのカジュアルでプレイしやすい親切さもバランス良く合わさり素晴らしい完成度です。
こういうのでいいんですよ、スクエニさん!
『聖剣伝説 VISIONS of MANA』とは
発売日・対応機種
発売日 | 対応機種 |
●2024年8月29日 | PlayStation5(4)/Xbox Series/PC |
どんなゲーム?
スクウェア・エニックスの人気ゲームシリーズ『聖剣伝説シリーズ』新作となるアクションRPG
製作は中国のゲーム開発スタジオNetEase(桜花スタジオ)が携わっている
ストーリー
4年に一度、フェアリーに選ばれた御子の魂を「マナの樹」に捧げることで存続する世界で、火の村で育った「魂の守人」ヴァルは、御子に選ばれた幼馴染のヒナとともに、遥か遠くにそびえるマナの樹を目指す…
感想など
今に蘇る王道ARPG
『聖剣伝説 VISIONS of MANA』はスクウェア・エニックスの人気ゲームシリーズ、『聖剣伝説シリーズ』のアクションRPGで、タイトルにナンバリングこそされていませんが、実質『聖剣伝説5』と言えるタイトルで、スピンオフやリメイクを除けば『聖剣伝説4』以来17年ぶりのシリーズ新作タイトルです。
内容としては、原点回帰のクラシカルな王道スタイルのファンタジーARPGです。
特に世界観にはこだわりが感じられ、森、草原、湖、火山などの豊かな自然と、「聖剣伝説2」と「聖剣伝説3」の楽曲を担当した菊田裕樹らの情緒ある美しい音楽の中でシリーズでおなじみの「ラビ」や「フルメタルハガー」といったモンスター、過去作で登場した「ブースカブー」や「サボテン君」などのマスコット的なキャラクターが登場することで聖剣伝説らしいファンタジックな世界が表現されています。
美しいビジュアル
『聖剣伝説 VISIONS of MANA』は、風景とキャラクターデザインのアートワークがとても素晴らしく、高いクオリティのグラフィックでそれらが鮮やかに描かれています。
美しい自然あふれる豊かな景観やHACCAN(はっかん)氏の描くキャラクターたちはコンセプトアートをそのまま落とし込んだように見事に描写されています。
バトルに探索に幅広いアクション
聖剣伝説シリーズといえばアクションバトルが特徴のARPGですが、今作はさらにアクション性を高め、バトルだけでなくフィールドにおいても様々なアクションを駆使して移動と探索ができるようになっています。
まず、最初から2段ジャンプと空中ダッシュが使え広大なフィールドを幅広く探索できるようになっています。
フィールドは段差と起伏が多くありますが、行けなさそうなところも意外に行けて面白いです。空中ダッシュは1回のジャンプ中で何回でも使用できるので、長い距離隔てた場所でも渡っていけますし、高いところから落ちても落下ダメージはありません。
また、精霊器を入手することで、風の力で飛んでいったり、闇の引力で自身やオブジェクトを引き寄せたりなどのギミックを使ったアクションも多数用意されています。
バトルのアクションも進化していて、使用クラスにもよりますが、敵を空中に打ち上げつつ追撃できる空中コンボなどでデビルメイクライのように格好良く立ち回ることが可能です。
私のお気に入りはモートレア(ナイトブレード)の空中コンボで「打ち上げ→空中斬り×2~3→交差斬り(□長押し)→連続斬り(△長押し)」です。
ちなみに、プロローグで使用するオーリンも実は□→(1テンポ待って)□で打ち上げコンボが可能です。
あるんだけど意外と使用しなかったのが「弾き」です。
狙うのが難しいというわけではないのですが、単純に存在を忘れてました(^_^;)
なお、アクション要素が強めというと、苦手な人は気になると思いますが、心配いりません。
難易度は「ノーマル」でも難しくない上、さらに「イージー」と「ベリーイージー」の2段階下まで用意されていて設定からいつでも変更可能です。
JRPGらしいストーリー
『聖剣伝説 VISIONS of MANA』のストーリーは良くも悪くもJRPG路線から逸脱しないジュブナイルなストーリーです。
複雑さはない単純なストーリーですが、中盤から終盤にかけての盛り上がりや登場人物の成長や友情、絆などしっかり描かれた良い物語になっていると思います。
特に仲間となって共に冒険をするキャラクター達が良く、無邪気で元気なムードメーカーのカリナ、性格イケメンでケモナーのモートレア、天然気味のお色気担当(?)パルミナ、最初は冷めてるけど仲間との交流で価値観が変わっていくジュリなど魅力的なキャラクターばかりで終始賑やかで楽しい旅となります。
ただし、気になる点もあります。特に共感できなかったのは、御子に選ばれたキャラクターがマナの樹に魂を捧げることに対してネガティブな感情を一切出さないことです。
御子に選ばれるということは、すなわち、自らの命を犠牲にする生贄になることと同じことです。自分が選ばれたら絶望するだろうし、家族や恋人など大切な人が選ばれれば嘆き悲しむのが普通ではないでしょうか。
しかし、主人公のヴァルは、幼馴染で大好きなヒナが御子に選ばれた時は悲しむどころか心から喜んでいる様子で、ここら辺はちょっと気持ち悪かったです。
ヴァルは、お人好しでとても好感の持てる良いキャラクターなのですが、序盤はこの違和感のせいで感情移入できず、自分としては一歩引いた感じで見てしまいましたね。
「御子になることをありがたがるなんて理解に苦しむ連中だ」、「ワシなら世界のために死ぬのなんてごめんだな!」、「自分の人生だぞ?やりたいように生きなくてどうする!」と正直に言うプサルの方がよっぽどまともで感情移入できます。
次に気になったのは、物語中盤以降の適役として登場するCV東地宏樹です。
結局のところ、彼がすべての現況なのですが、世界を恨み仇なす理由がちょっと弱いかなと思いました。
物語を進めていく中で、CV東地が世界と女神を酷く憎しみ、暴走するまでの過程がそれなりに説明されてきましたが、あまり共感はできませんでした。
最後もコロッと改心させられてしまって今まで何だったのと言う感じです。各地に呪いを振りまくならもうちょいエグく(例えば、ジョジョ1部のタルカスとブラフォードくらい悲惨な目に合うとか)てもよかったかなとと思います。
細かいけど気になった点
重箱の隅を突く程度の細かい内容ですが、主にゲームシステム面で気になった点について箇条書します。
- 殆どのサブクエがひどいお使いクエ(拒否権なし)
- 宝箱の中身やサブクエの報酬がお金(ルク)とかガッカリが多い
- 乗り物を呼ぶときの演出が長い
- ファストトラベルが大陸間でできない(同じ大陸なら別マップへのFTは可能)
- 非操作キャラクターの頭がたまに時々悪い
- サボテン君見つけてもあまり嬉しくない
- マップ上で未発見の宝箱と精霊器ギミックのアイコンが同じでややこしい
- アビリティスロット解放アイテムが宝箱に入ってるので取り逃す(レベルアップで開放でいいじゃん)
- 村の中だとフィールドと同じ移動方法(2段ジャンプなど)が使えなくて面倒
- くらった状態異常が長すぎてかなりイライラする
状態異常の長時間拘束は本当にストレスだったので何とかして欲しかったです(^_^;)
まとめ
『聖剣伝説 VISIONS of MANA』は、今時の美しいグラフィックとカジュアルなシステムを盛り込みつつも「聖剣伝説」らしさを追求し、王道スタイルのファンタジー世界とシリーズ原点回帰のストーリーでかつて躍進した全盛期の「スクウェアのRPG」を回顧させるとても良いゲームだと思いました。
スクエニブランドのタイトルでやや微妙な続編・リメイクが続く中で、まさに「こういうのでいいんだよ」という内容の理想的な正当進化です。
この調子で「武蔵伝」とか「デュープリズム」なんかも復活させて欲しいなと思いました。
以上
『聖剣伝説 VISIONS of MANA』のレビューでした。
↓ブログランキングに参加しました!
バナーをクリックするとこのブログにポイントが入ります!(1日1回)