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『Rise of the Ronin』の感想・レビュー

コーエーテクモの幕末オープンワールド

178本目のゲームレビューです。

評価

〇かなりの良ゲー

とにかく圧倒的なゲームの遊びやすさ、プレイの快適さへの追求が素晴らしい。

『仁王』、『Wo Long』からさらに磨きのかかったチャンバラアクションも秀逸です。

『Rise of the Ronin(ライズ オブ ローニン)』とは

発売日・対応機種

発売日 対応機種
2024年3月22日 PlayStation5

どんなゲーム?

『仁王』『Wo Long』の開発を手掛けたコーエーテクモゲームスのTeam NINJAが開発し、ソニー・インタラクティブエンタテインメントから発売されたオープンワールドアドベンチャー

19世紀、300年に渡る徳川幕府による治世が黒船来航により激動する日本でプレイヤーの分身たる名もなき浪人が己の道を切り開く

感想など

幕末期の日本をオープンワールドで表現

『Rise of the Ronin』は1853年の黒船来航を皮切りに始まる幕末の日本を舞台としたオープンワールドゲームです。

中世日本を探索できるオープンワールドというと1274年元寇の時代の日本を清涼で美しいグラフィックと当時の人々の価値観や風習、生活模様をリアルに描いたストーリーで高く評価された『Ghost of Tsushima』を思い浮かべますが、『Rise of the Ronin』は、Tsushimaに比べるとリアルよりかはフィクション/ファンタジー要素が多く、若干方向性は異なります。

しかし、このゲームは、侍オープンワールドとして、Tsushimaに引けを取らない魅力に溢れたゲームとなっています。

特にグラフィックに関しては、江戸時代末期の日本家屋と生い茂る緑豊かな自然を交えた風景が非常に美しく、遠景に見える富士がとても印象的です。

また、Tsushimaよりも時代が進んでいることで、近代的な建造物も見られ、海外への開口地となった横浜など、和洋折衷の独特な雰囲気を持った町並もあり新鮮です。

グラフィックのクオリティは高い

グラフィックに関しては「1世代古いPS4初期のグラフィック」との批評もあるようですが、個人的には最高レベルではないまでも、トップクラスのクオリティがあると感じました。

典型的なオープンワールドのゲームシステム

『Rise of the Ronin』は、プレイヤーがメインミッションを追いながら様々なサイドミッションやアクティビティに取り組む典型的なオープンワールドゲームです。

アクティビティはおもに、無法者に占拠されたエリアを解放する「治安改善」や強敵を討つ「お尋ね者」といったバトル系アクティビティ「飛行訓練」「射撃訓練」などの訓練系アクティビティ、そして、指定された風景を写真機で撮る「写真撮影」やマップに記された蔵(宝箱)名所などを発見して回る収集系アクティビティなどがあります。

マップには無数のアクティビティがある

討伐ミッションの「お尋ね者」

猫は集めるだけでなく「貸し猫」としても使える

バトル系と収集系のアクティビティは、特に問題なく取ることができると思いますが、訓練系アクティビティは評価が初伝から極伝までの4段階の評価があり、最高評価の極伝を狙うのは挑む訓練の内容によっては困難でストレスのたまるものもあります。ここらへんは評価が分かれるポイントかもしれません。

この他には、道で襲われている人を救出するなど突発的なランダムイベントも発生します。

歩いていると発生するランダムイベント

このようなランダムイベントもオープンワールドゲームでは既にお馴染みですね。

ユーザビリティの取り組みが素晴らしい

『Rise of the Ronin』の良いところは、面倒になりそうな部分やストレスになりそうなシステムを徹底的に洗い、遊びやすさとプレイの快適さをとことん追求しているところです。

いわゆるゲームのアクセシビリティユーザビリティの取り組みが素晴らしいです。

いくつか例を上げると以下のような点です。(ただし、これらの便利機能はゲームの設定やストーリーの進行具合によっては、使用できない時もあります)

1 アイテムの自動取得

操作設定でアイテムの自動取得をONにすれば、側を素通りするだけで素材やドロップ品を自動的に取得します。拾うボタンを押す必要がないく、通り過ぎるだけだけで収集できるのでとても快適です。

2 非戦闘時の無制限ダッシュ

バトル中以外はダッシュにスタミナを消費しないので、いちいち走って休んでを繰り返す必要はありません。

3 戦闘終了後の自動回復

戦闘後はライフが自動で回復するのでいちいち道具を使用して回復する必要はありません。

4 昼夜の即時切り替え

非戦闘中であれば、懐中時計(序盤でもらえる)を使用するだけでどこでも朝昼夜の切り替えが可能です。わざわざ、自宅や、キャンプの寝床に向かう必要はありません。

5 難易度設定

難易度設定が可能で、ゲーム開始に設定した後からでも変更可能です。自分に合わせた難易度でストレスなくバトルを楽しむことができます。

6 馬は呼ぶと乗るが1アクション

馬を呼んだら駆け寄って乗るボタンを押すとかではなく、呼んだらそのまま乗ります。さらに、歩きの状態からマップの指定地点へのオートランを設定した場合、「馬を呼ぶ〜馬に乗る」まで勝手にやってくれます。

7 アイテム整理に便利なフィルタ機能

例えば、フィルタで「レベル10以下で希少度が名品以下のもの」を一括で選択し、売却や分解ができるなど、アイテムを効率よく管理できます。

フィルタ機能で一括で選んで売却

8 敵の有利不利が一目瞭然

このゲームのバトルは、敵の武器・流派と自分の武器・流派とで有利/不利の相性があります。

バトル中はこの相性が、敵のライフゲージの横に▲(有利)▼(不利)で表示され非常にわかりやすいです。流派変更の際も、変更しようとする流派が有利になるか不利になるかUI上に表示されます。

敵のライフバーや流派のアイコンの横に有利不利が表示

9 贈り物は誰が何を好きかUIに表示される

因縁が成立した相手には、贈り物を貢いで因縁レベルを上げることができますが、より因縁が深まる贈り物には、ハートマークが付けられてわかりやすいようになっています。

何を渡すと効果的なのかアイテムの左下にハートマークがある

ほんのささいなUIの気遣いでも細い部分まで配慮が行き届き、隅から隅まで気を利かせて遊びやすくした結果、高いクオリティのゲームプレイが実現されたと思います。

誰でも楽しめる難易度のアクション

『Rise of the Ronin』のアクションは、開発がコーエーテクモのTeam NINJAということもあり、同チームが開発した『仁王』『Wo Long』に似たアクションとなっています。

『仁王』『Wo Long』というと非常に難易度の高い「死にゲー」と言われるジャンルのアクションですが、『Rise of the Ronin』死にゲーではありません。

まず、難易度設定があるので一番低い難易度である「薄明」にすれば、回復を使用しながら刀を闇雲に振り回しているだけでもゴリ押し可能です。

いわゆるパリィであるところの「石火」は、苦手な人は苦手かもしれませんが、必須テクではないので使用しないでも十分に戦えます。

さらにミッションでは、頼りになる同胞を2人も連れていけるのでアクション苦手な人でも大丈夫になっています。

いわゆるパリィの「石火」

もちろん、『仁王』『Wo Long』のような高難易度が好きなプレイヤーは、難易度設定を上げて同胞も連れて行かないようにすれば緊張感のあるバトルも楽しむことも可能です。

史実とオリジナルが混ざったストーリー

『Rise of the Ronin』のメインストーリーは、2本の柱があり、1つ目は「生き別れた片割れを探す」、2つ目は「坂本龍馬や維新志士達とともに幕末の情勢に関わる」です。

実際の歴史(正史)を基にしたノンフィクションに架空の人物やドラマチックな展開を加えてフィクションとした作品はよくありますが、実際の歴史(正史)の部分は面白いのにオリキャラなどが出てきたり、オリジナルストーリーになった途端つまらなくなる作品もちらほらあります。漫画「キングダム」がいい例です。私はこれを「キングダム現象」と呼んでいます。

ローニンのオリキャラ(?)アレクサンドリア・モロー

そしてこのキングダム現象は『Rise of the Ronin』にも当てはまります。

つまり、メインシナリオの中でも「安政の大獄」「桜田門外の変」など史実に沿った部分のお話は面白いのですが、オリジナルのお話の部分である「生き別れた片割れを探す」の部分はメチャクチャです。

そもそも、「片割れと敵対する」まではいいとして、「片割れが敵対する理由を一切言わない」の理由がなくて頭にきます。まずは腹を割って話しなさい。

これは、バンナムの「SCARLET NEXUS」(スカネク)でカサネやカレンが「理由を話しても分からない」の一点張りで禄に取り合わなかったのに似ています。私はこれを「スカネク現象」と呼ぶことにします。

大体シナリオライターが「家族並みの絆で結ばれた仲間同士が対立したら面白いんじゃね」までしか考えてなくて理由付けをちゃんと考えてないせいです。

「いずれ分かる」じゃなくて今言えばいい話

ほかにも、大半がオリジナルストーリーである因縁ミッションのストーリーにも酷いものが結構見られます。伊賀七の「拾った命の使い道」なんかはちょっと意味不明です。

『Rise of the Ronin』が、『仁王』よりも高く評価されないのはこの部分が大きいのだと思います。オープンワールドゲームは『仁王』のようなアクションゲームよりもストーリーがずっと重要なのです。『GTAシリーズ』『レッド・デッド・リデンプション2』がオープンワールドの金字塔とまで評価されているのは、映画顔負けの練り込まれたストーリーであったことが大きいのです。

つまり、オープンワールドにするならシナリオを最低でも映画並みにしないとダメということです。このちゃちなストーリーが許されるのは『仁王』のようなアクションゲームまでです。

一方、史実に沿った部分のシナリオは良かったとおもいます。特に、坂本龍馬桂小五郎(CV子安)久坂玄瑞勝海舟ペリーといった歴史上の人物が魅力的に描かれ、ここら辺はさすがコーエーテクモだなという感じでした。

控えめながらキャラが立ってる討幕派の面々

みんな大好きマシュー・ペリー

さすがコエテク和ゲー美人の篤姫

まとめ

最後にオリジナルストーリーの部分でケチを付けましたが、総合的に判断すると大変素晴らしいオープンワールドゲームだと思いました。

特に、徹底的に遊びやすさを追求したユーザビリティと『仁王』『Wo Long』からさらに磨きをかけ、難易度選択により誰でも楽しめるようになった剣戟とステルスのアクションは最高です。

個人的にはもっと世間に高く評価されていいゲームだと感じています。

やはり対応機種がPS5だけだと間口が狭くて厳しいのでPC版も早くだして欲しいですね。

本当にいいゲームなので沢山の人にプレイして欲しいと思いました。

以上

『Rise of the Ronin』のレビューでした。

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