111本目のゲームレビューです。
評価
〇普通
AIに過度な期待をしなければ普通にポートピアのリメイク作として遊べます
犯人については有名なので知ってるけど犯人以外の部分についてはよく知らないという人なら普通にストーリーを楽しめると思います
『ポートピア連続殺人事件（AI検証実験版）』とは
発売日・対応機種
●2022年4月24日 PC（Steam）
どんなゲーム？
ドラクエの生みの親として有名な堀井雄二氏がデザインし1983年にエニックスからPC版が発売され、1985年にはファミコンにも移植された名作「ポートピア連続殺人事件」を通して、AI技術のひとつである自然言語処理(NLP)を体験するソフトウェア
NLPを備えたAIヤスに文字列で文章を入力することで指示を出し、神戸で起こった殺人事件を解決に導く
感想など
『ポートピア連続殺人事件（AI検証実験版）』はSteamで無料で配布されているソフトウェアですが、いわゆる「基本プレイ無料ゲーム（F2P）」や「無料体験版ゲーム」ではなくAI検証実験プロジェクトの技術的なデモとしてリリースされているゲームのようです。
AIの自然言語処理(NLP)ですが、例えば、「山川の屋敷」から事件現場である「書斎」に移動する際に「書斎に移動する」など正確に撃ち込まなくても「中へ入るぞ」などあいまいな感じでもちゃんと書斎に移動すると認識してくれます。
壁にあるボタンを押して欲しい時に「ポチっとな」で反応してちゃんとボタンを押してくれた時はなかなか感心しましたよ。
ただし、言語の意味は理解してもゲーム内のアクションに結びつかない場合は、ちゃんと反応してくれません。先ほどの山川の屋敷で言えば、「〇〇へ移動する」とか「〇〇を調べる」などの用意されているアクションに結びつくものならそれっぽく言えば反応してくれますが、そうでないと全て「え？」とか「ちょっとよくわからないですね。」で返されてしまいます。
例えば「屋敷を燃やせ」などと指示しても「そんなことしたら放火で捕まっちゃいますよ！」など気の利いたセリフが返ってくるわけでなく、「え？」と言われておしまいです。
推理に詰まった時に「ヒント教えて」とか「どこに行けばいい？」とか聞いても臨機応変に返事をしてくれるわけではなく、やはり「え？」と返されておしまいです。
つまり、結局のところ用意されたコマンドを支持するだけなので一番最初にパソコンで発売された「ポートピア連続殺人事件」と大差はありません。パソコン版も「イケ」「シラベロ」「ヨベ」などタイピングしてヤスに指示をしていましたからね。
なぜChatGPTのように会話ができないかというと、本作のAIには自然言語生成（NLG）による雑談会話機能を搭載していないためだそうです。
そのため「何か面白いこと言え」と指示しても「ちょっとよくわからないですね。」などの反応しか返ってきません。ChatGPTとかであれば「パラパラに炒飯を料理するやり方を関西弁で話して」とかいえばノリノリで応答してくれるんですけどね。ヤスといろんな会話して遊べたら本当に最高でした。
公序良俗やプライバシー侵害の問題は確かにあるかもしれませんが、折角、実験的な試みのデモという位置づけで出すのであれば、思い切ってNLG機能を入れても良かったんじゃないかなーと個人的には思います。
そして、AIとの会話を大々的にアピールしておきながらコミュニケーションについてはほとんど取れないということでSteamレビューは低評価の嵐になってしまってます。やはりChatGPTのようにAIと会話を楽しもうと思ったら全然できなくて肩透かしを喰らったという人が沢山いたようですね。
ただし、確かに自由にAIとの会話やコミュニケーションが取れないというところが期待外れではあったもののアドベンチャーゲームの名作「ポートピア連続殺人事件」のリメイク作としては、いたって普通に遊べることができたと思います。
ポートピア連続殺人事件といえば、コンパクトながらもサスペンスな雰囲気と驚きの展開（有名すぎて驚かない）で有名な傑作ミステリーです。
何と言っても無料ですし、1～2時間程度でクリアできますので、ポートピア連続殺人事件をちゃんとプレイしたことのない人はこれを機にプレイしてみるのもいいかもしれませんよ。
以上
『ポートピア連続殺人事件（AI検証実験版）』のレビューでした。
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